“羽生マジック”が炸裂したNHK杯トーナメント決勝戦。
今日は将棋のNHK杯トーナメント決勝戦、羽生名人・四冠vs森内九段の対局が放映された。
これがめちゃめちゃ面白い将棋だった。
(以下、専門的な話ばかりですが気にせず書きます。▲~は先手番の森内の手で、△~は後手番の羽生の手です。)
戦法は相振り飛車で、中盤に羽生が銀捨ての勝負手から飛車角交換に持ち込み、駒損ながら森内の王様に迫る。しかし、羽生は最善を尽くしながらも駒が足りず、森内に手番を渡す。
そして反撃を開始した森内が詰めろ(「放っておいたら次の手で詰みますよ」という手)をかける。
この時点では両者ともに1手30秒以内で指さなくてはいけない状況。
絶体絶命と思われた羽生の一手は、28秒あたりまで読まれてからの端歩突き(120手目△9四歩)。苦し紛れに単に逃げ道を広げただけ、と思ったこの一手が意外としぶとい一手だった。
この局面でも、羽生の王様に詰みが生じている(=森内が勝てる)ようにも見えたが、森内は冷静に自陣の飛車を成って龍を作り、攻撃の駒を足す(121手目▲2一飛成)。
結果として、この判断は正解だった。なぜなら羽生の王様に詰みは無かったから。
ここで羽生は自陣に歩を投入して、今できたばかりの龍の利きを止める(122手目△5一歩)。だが、これは受けになっておらず、この局面では羽生の王様に今度こそ詰みが生じていた。
しかし、森内は30秒の考慮時間でこの詰みを読み切れず、詰まない手を指してしまった(125手目▲7三角成)。
ここで▲5一龍と迫れば、羽生の王様を詰ますことができた。しかし、▲5一龍を含めて23手詰め(森内が12回連続で正しい王手を指し続ければ勝ち)という難解な手順を30秒で読み切れ、というのはちょっと酷、と言えよう。
まあ、パソコンなら(それこそ私のノートPCに入っている将棋ソフトで充分)1~2秒で読み切ってしまう手順ではあるのだが。
詰まない手順で羽生の王様を追ってしまった森内は、ほどなく投了。
詰ましに行く過程で羽生に駒を渡してしまい、自陣は受けが無くなってしまったので仕方が無い。
というわけで、羽生が熱戦を大逆転で制した。
結果だけ見れば「詰みを読み切れなかった森内だせぇ」とも言えるが、あれは仕方ないと思う。
それよりは、「厳しい局面で逆転を誘う“怪しい手”を指して本当に逆転する」という、久々に見た“羽生マジック”の凄さに感動する方が正しい楽しみ方だろう。日曜の朝から面白い対局を見れて大満足です。
ちなみに棋譜は以下の通り。2ちゃんから拝借しました。(▲森内-△羽生)
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △3二飛 ▲7七角 △6二玉
▲7八銀 △3五歩 ▲6七銀 △7二銀 ▲8八飛 △5二金左
▲3八銀 △7四歩 ▲4八玉 △7三銀 ▲5八金左 △4二銀
▲4六歩 △4四歩 ▲3九玉 △4三銀 ▲6五歩 △3六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲5六銀 △3二飛 ▲6八飛 △7二玉
▲9六歩 △6二金上 ▲4七金 △3四銀 ▲3七銀 △1四歩
▲3八金 △1三桂 ▲2六歩 △2四歩 ▲3六銀 △3五歩
▲2七銀 △2五歩 ▲同 歩 △4五歩 ▲2二角成 △同 飛
▲3三角 △2一飛 ▲2四歩 △4六歩 ▲同 金 △2五銀
▲4八玉 △2六歩 ▲1八銀 △3六銀 ▲3七歩 △2七歩成
▲同 銀 △同銀不成 ▲同 金 △3六歩 ▲同金寄 △5四歩
▲3二銀 △4四銀 ▲同角成 △2四飛 ▲2六馬 △同 飛
▲同金寄 △4四角 ▲7七銀 △2八歩 ▲4一飛 △3三角打
▲6九飛 △2九歩成 ▲同 飛 △8五桂 ▲4五歩 △2六角
▲同 金 △7七桂成 ▲3五金 △5五歩 ▲4七銀 △6七成桂
▲4四歩 △5六歩 ▲同 銀 △4六銀 ▲6七銀 △4七金
▲5九玉 △5七銀成 ▲6九玉 △6七成銀 ▲7九玉 △5七金
▲8八玉 △6八金 ▲5四桂 △7八金 ▲9八玉 △5一金
▲4三飛成 △8九金 ▲同 玉 △7八銀 ▲8八玉 △8五桂
▲5五角 △1五角 ▲6二桂成 △同 金 ▲5二金 △9四歩
▲2一飛成 △5一歩 ▲6二金 △同 玉 ▲7三角成 △同 玉
▲6三龍 △同 玉 ▲2三龍 △3三桂 ▲同 龍 △同 角
まで132手で羽生名人・四冠の勝ち。
| 固定リンク
「将棋」カテゴリの記事
- 棋士編入試験第1局。(2024.09.10)
- 王座戦第1局。(2024.09.04)
- 福間香奈妊娠ですって。(2024.08.30)
- 王位戦第5局。(2024.08.28)
- アマチュア三段昇段。(2024.08.21)
コメント